おっちゃんのつぶやき44
「日日是好日」(にちにちこれこうじつ)(新潮文庫:森下典子著 以下「 」の中は引用)の本を久々に手にした。以前、映画で見たのですが・・・・主演は樹木希林さん,黒木華さん,多部未華子さんらが主な出演で,茶道を通して,黒木さん達の日々成長を描いた作品です。日日是好日とは,毎日毎日が楽しい日という意味ではなく,苦しみや悲しみを含めて「今日」を精一杯生きる姿勢が,その日を「好日」にするというプロセスを大切にする禅の教えなのだそうです。
ただ,この本ほど、主人公の樹木希林さんの言葉・肉声が聞こえてくる小説・エッセイを私は知りません。
文字やセリフの一言一言が希林さんの声で聞こえてくる。「そう。あなたが自分で決心したのなら,それでいいのよ。自分の出した結論に従って,それでよかったとおもえるように生きて行きなさいね。」「わけなんか,どうでもいいから,とにかくこうするの。あなたたちは反発を感じるかもしれないけれども,お茶ってそういうものなの」「お茶はね。まず『形』なのよ。先に『形』を作っておいて,その入れ物に,後から『心』が入るものなの」これに対して黒木さん達は,ただの形式主義,悪しき伝統の鋳型と反発をするわけです。
そのような中で「稽古は回数なのよ。一回でも多く数を重ねることよ。『習うより,慣れろ』って・・・希林さんは(お茶の先生として)同じ言葉を繰り返すのです。」「先生にぴしゃりと止められた。」「そうやって,頭で覚えちゃダメなの。稽古は一回でも多くすることなの。そのうち手が勝手に動くようになるから」・・・とまあ,このようなやり取りが続くのですが,私にとって「目から鱗」の出来事が語られているのです。
今の若い人の多くは,コスパ・タイパ・合理性このような言葉,考え方が主流になっています。それは,勉強したり,資格を取得したりと自分と向き合うときはそれでよいと思いますが,社会人は対ヒトとなりますので,同じ事案でも人によって対応の方法は変わってきます。それを,注意しようとしても,言葉を間違うとパワハラになりかねません。
量より質は存在しますが,それは量をこなした人が言う言葉であると私は思っています。学生には失敗して頭打って自分なりのスタンス・スタイルを作ればよいと言うのですが,その合理性を重視する学生には・・・。
それにしても,亡くなられた希林さんの肉声が,セリフからよみがえってくるのは本当にすごいことだと思いました。

